守
「如何なる事情が在れ私のした行為は恥ずべきもの、此の場にて切腹を。」すると義経は、海を眺めながら弁慶に語り始めた・・・「なぁ、弁慶。あの空を見よ、何と広いのだろか。なぁ、弁慶。あの海を見よ、何と蒼いのだろうか。だが弁慶、お前の愛はな。あの空よりも大きく、あの海よりも深かったぞ。弁慶よ、お前の愛は痛うなかったぞ。」義経は涙を堪えながら、そう言った。そして弁慶はその場に泣き崩れ、義経に対して一層の忠誠を誓った。誇り高き、絆の深さ・・・誉れ高き、契りの堅さ・・・義経と弁慶は、正に対の関わりだったのだ。
破
でも義経と弁慶にも、別れの時が訪れた。弁慶は義経を追っ手から守る為に、多くの追っ手の前に1人で立ち塞がる。そして無数の矢を受けつつも、弁慶はその膝を決して地に着けなかった。「殿、誠に申し訳ございませぬ。この弁慶、どうやらここまでの様でございます。しかしながらこの場は、この弁慶が命を掛けても1人として殿の元へ通しませぬ。今の内に、お逃げ下さいませ。ただ1つ、心残りが在るとするならば・・・あの夜、京の五条大橋にて初めて聴いた殿の笛の音を・・・もう一度だけ、聴きとうございました。」弁慶は、鬼神と化す。
理
弁慶はその命の炎が燃え尽きようとも、決して倒れる事は無かった。そして弁慶に助けられた義経一行は、山道を登り逃げる途中にて弁慶の立ち往生を観る。その時の義経は、余りの精神的なショックから幼児退行を起こしていた。「皆の者、見よ。弁慶だ、弁慶の何と強き事か。いとも易く敵を薙ぎ倒してゆく、弁慶は我が誇りだ。ん・・・弁慶・・・駄目だ、いけない。今すぐ弁慶を、助けに行かなくては。弁慶、負けるな。弁慶、死ぬな。弁慶、弁慶。」その命、最後の炎を燃やし尽くす弁慶。他の従者に抑えられ、その場を離れざるを得ない義経。
解
美しくも儚い誠実さ、忠義心・・・人は、仕える事を忘れてしまったのでしょうか。義経と弁慶の物語は、単なる歴史の1ページに過ぎないのかもしれません。ただこれ程の恋愛物語を、他に御存知でしょうか?義経と弁慶の物語は、恋愛物語なんですね。あの夜、京の五条大橋にて・・・弁慶は義経に、恋をしたのです。そして弁慶は義経への、その愛を貫いたのです。アテナの切なる想い、義経と弁慶の純なる愛・・・音と成りて、永遠に宇宙に響き渡る。音が光を創り出し、光が物を造り出す。貴方の想いも光と成り、音と成り宇宙に響き続けます。
No Comments
Be the first to start a conversation